いつかは解説しなくてはいけないことを、かえるくんで。
2014年 11月 28日
先日お問い合わせの電話があり、「このカエルの転写シールを売ってください」と。
「ひとつひとつ手描きです、すみませんが転写シールではありませんので」と回答させていただくと、
「ポーセラーツ」だと聞いたとのことでした。・・・またか、という気持ちに。
以前から薄々感じていたのですが、あまり強く触れたり、明白にしてこなかったこの件。
もちろん百貨店等での展示販売では虚偽になってトラブルにならないような回答はして参りましたが。
「ポーセラーツ」とはクラフト関連の株式会社ヴォーグ社さんが発祥の造語のようです。
porcelain(磁器)とart(芸術)を組み合わせた言葉で、絵描かれた転写シールを白磁に水で張り付けて
焼成してつくるクラフトです。それを中心に一部手描きを加えたりもしているようです。
(ヴォーグ社さんのホームページにとっても丁寧に説明されていますので、どうぞ検索してください。)
世界中たくさんの方が楽しまれてますし、お教室を展開されている方々もいるようですし、
世の中の量産食器、ブランドやキャラクター商品の殆どが転写シールのプリントですし、
かつて私が学んだアメリカの協会 International Porcelain Artists and Teachers と、日本にある
原宿陶画舎でもその勉強はしましたが、今の私の業にその「転写シール」は存在しませんので、
どうぞ誤解のないようにお願いします。
また、「ポタリー」、「ポッタリー」という言葉もありますが、こちらはpottery(陶器)のことだと思いますので、
これも私の業にはありません。私は磁器若しくはボーンチャイナのみの絵付けとなりますので。
(余談ですが、近々ガラスにも絵を・・・と、現在試行錯誤中です)
磁器と陶器の違いは、成分が異なります。ザックリとですが、磁器は石、陶器は土、という感じです。
更に、「上絵付け」、「下絵付け」というのも少し触れておくと、
陶磁器の表面にある釉薬の上に描くのが「上絵付け」で、釉薬をかける前に描くのが「下絵付け」。
イングレーズとかオングレーズとも言います。グレーズとはglaze(うわ薬)のことです。
上絵付け師や下絵付け師、また両方取り入れるアーティストさんや窯元さんもいらっしゃいますが、
私は「上絵付け」のみ、そして表現するモチーフに和のテイストや和絵付けの技法が一切ないので、
「西洋陶絵付け」というジャンルです。ポーセリンペイント、チャイナペインティングなどとも言います。
例えばこの写真のかえるくんのマグの工程はというと、
・マグの寸法を測り、紙に型紙をおこします。
・その部分にイラストや文字をデザインします。(名入れなどの注文もこの時取り入れます)
正面や手前に何を描けばいいか、その補色や用途に合ったデザインが展開できているかなど
一番時間をかけて私なりに表現します。デザインが決まったら、
・マグに2色の絵具でペイント、キレイなグラデーションになるようにスポンジでパティングします。
今回はウルトラマリンディープとネイプルスイエローの2色を使いました。色名は全部頭に入っています。
・表面を乾かします、半日から一晩くらい。季節や湿度によって異なります。
・第一焼成、約800℃。400℃までは電気焼成炉の蓋を少し開けてオイルを蒸発させます。
400℃からは蓋&栓をして一気に焼きます。800℃での焼成キープタイムは20分。
焼きあがって冷まして手に取るまで、約10時間です。これも季節や湿度によって異なります。
・次に第二ペイント、型紙のかえるくんや文字をトレーシングペーパーとカーボン紙でトレースします。
絵の具をデティールライナー(極細筆)やペン先にとり、どんどん描いていきます。
フラットな表面を表現したい時などは、パソコンの力を借りてそのデザイン画のカッティングシートで、
マスキング作業、そしてステンシルの要領でパティングします。今回は文字の部分がシート仕様です。
ちなみに描いた絵の具は触ればとれてしまうので、絶対に触れません。触らないように構えるのが辛い。
・描き終えたらまた乾かして焼成。
今回は2回焼成で完成させておりますが、もう少しこだわりたい時やコンクール出展作品などは
もっとたくさんペイント&焼成を繰り返します。(最高9回という経験あります)
原価算出のためも含めて(笑)、使った色やその順序等はすべてレシピのように記録してあり、
再注文にも対応しています。媒体となる白磁は仕入れ品なので限りがありますが。
と、
手間と時間は立派にかかっておりますので、転写シールで作る世界と同じ扱いにされてしまうのは、
複雑な気持ちになってしまうのをどうぞどうぞお察しくださいませ。
でも私にとって大切なのは上記のようなことではなく、
私の描く絵やイラストで選んでくださるお客様の笑顔なんです。
「この絵がいいの!」とか「この絵に一目ぼれしちゃった」とか、「なんかさ~、ぜんぜん買うつもり
なかったのに、思わず買っちゃったじゃない!」とおっしゃってくださるのが一番嬉しいです。
それだけ人様の心を動かしたということに充実感をおぼえます。
百貨店のリビングフロアには世界中の名だたるブランドの食器がズラ~り!販売スペースも金額も
ケタが違います。でもそんな中に並べた、吹けば飛ぶような私の小さな食器の世界で選んでくださる方、
お一人お一人のために頑張っています。
と思えば呼び方なんかどうでもいいのですが、
ブログは1日数百人の方々にご覧戴いているので、この場であえて。
(・・・don't take it amiss!)
●今後の催事のご案内●
「高橋 かなえ 手描きのテーブルウエア」
・1月22日(木)~1月28日(水) in 東急百貨店たまプラーザ店4F
・2月19日(木)~2月25日(水) in 東武百貨店池袋店6F
・3月 4 日(水)~3月10日(火) in 伊勢丹立川店6F 他
ペイントの実演をしながら皆様のお越しをお待ちしております♪
「HALCYON DAYS プロモーション」
・12月17日(水)~12月25日(木) 日本橋三越本店5F
クリスマス向け商品と一緒にぺインターとしてお仕事します
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
● 高橋 かなえ 手描きのうつわたち ●
オンラインショップ http://kanakana.ocnk.net/
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「ひとつひとつ手描きです、すみませんが転写シールではありませんので」と回答させていただくと、
「ポーセラーツ」だと聞いたとのことでした。・・・またか、という気持ちに。
以前から薄々感じていたのですが、あまり強く触れたり、明白にしてこなかったこの件。
もちろん百貨店等での展示販売では虚偽になってトラブルにならないような回答はして参りましたが。
「ポーセラーツ」とはクラフト関連の株式会社ヴォーグ社さんが発祥の造語のようです。
porcelain(磁器)とart(芸術)を組み合わせた言葉で、絵描かれた転写シールを白磁に水で張り付けて
焼成してつくるクラフトです。それを中心に一部手描きを加えたりもしているようです。
(ヴォーグ社さんのホームページにとっても丁寧に説明されていますので、どうぞ検索してください。)
世界中たくさんの方が楽しまれてますし、お教室を展開されている方々もいるようですし、
世の中の量産食器、ブランドやキャラクター商品の殆どが転写シールのプリントですし、
かつて私が学んだアメリカの協会 International Porcelain Artists and Teachers と、日本にある
原宿陶画舎でもその勉強はしましたが、今の私の業にその「転写シール」は存在しませんので、
どうぞ誤解のないようにお願いします。
また、「ポタリー」、「ポッタリー」という言葉もありますが、こちらはpottery(陶器)のことだと思いますので、
これも私の業にはありません。私は磁器若しくはボーンチャイナのみの絵付けとなりますので。
(余談ですが、近々ガラスにも絵を・・・と、現在試行錯誤中です)
磁器と陶器の違いは、成分が異なります。ザックリとですが、磁器は石、陶器は土、という感じです。
更に、「上絵付け」、「下絵付け」というのも少し触れておくと、
陶磁器の表面にある釉薬の上に描くのが「上絵付け」で、釉薬をかける前に描くのが「下絵付け」。
イングレーズとかオングレーズとも言います。グレーズとはglaze(うわ薬)のことです。
上絵付け師や下絵付け師、また両方取り入れるアーティストさんや窯元さんもいらっしゃいますが、
私は「上絵付け」のみ、そして表現するモチーフに和のテイストや和絵付けの技法が一切ないので、
「西洋陶絵付け」というジャンルです。ポーセリンペイント、チャイナペインティングなどとも言います。
例えばこの写真のかえるくんのマグの工程はというと、
・マグの寸法を測り、紙に型紙をおこします。
・その部分にイラストや文字をデザインします。(名入れなどの注文もこの時取り入れます)
正面や手前に何を描けばいいか、その補色や用途に合ったデザインが展開できているかなど
一番時間をかけて私なりに表現します。デザインが決まったら、
・マグに2色の絵具でペイント、キレイなグラデーションになるようにスポンジでパティングします。
今回はウルトラマリンディープとネイプルスイエローの2色を使いました。色名は全部頭に入っています。
・表面を乾かします、半日から一晩くらい。季節や湿度によって異なります。
・第一焼成、約800℃。400℃までは電気焼成炉の蓋を少し開けてオイルを蒸発させます。
400℃からは蓋&栓をして一気に焼きます。800℃での焼成キープタイムは20分。
焼きあがって冷まして手に取るまで、約10時間です。これも季節や湿度によって異なります。
・次に第二ペイント、型紙のかえるくんや文字をトレーシングペーパーとカーボン紙でトレースします。
絵の具をデティールライナー(極細筆)やペン先にとり、どんどん描いていきます。
フラットな表面を表現したい時などは、パソコンの力を借りてそのデザイン画のカッティングシートで、
マスキング作業、そしてステンシルの要領でパティングします。今回は文字の部分がシート仕様です。
ちなみに描いた絵の具は触ればとれてしまうので、絶対に触れません。触らないように構えるのが辛い。
・描き終えたらまた乾かして焼成。
今回は2回焼成で完成させておりますが、もう少しこだわりたい時やコンクール出展作品などは
もっとたくさんペイント&焼成を繰り返します。(最高9回という経験あります)
原価算出のためも含めて(笑)、使った色やその順序等はすべてレシピのように記録してあり、
再注文にも対応しています。媒体となる白磁は仕入れ品なので限りがありますが。
と、
手間と時間は立派にかかっておりますので、転写シールで作る世界と同じ扱いにされてしまうのは、
複雑な気持ちになってしまうのをどうぞどうぞお察しくださいませ。
でも私にとって大切なのは上記のようなことではなく、
私の描く絵やイラストで選んでくださるお客様の笑顔なんです。
「この絵がいいの!」とか「この絵に一目ぼれしちゃった」とか、「なんかさ~、ぜんぜん買うつもり
なかったのに、思わず買っちゃったじゃない!」とおっしゃってくださるのが一番嬉しいです。
それだけ人様の心を動かしたということに充実感をおぼえます。
百貨店のリビングフロアには世界中の名だたるブランドの食器がズラ~り!販売スペースも金額も
ケタが違います。でもそんな中に並べた、吹けば飛ぶような私の小さな食器の世界で選んでくださる方、
お一人お一人のために頑張っています。
と思えば呼び方なんかどうでもいいのですが、
ブログは1日数百人の方々にご覧戴いているので、この場であえて。
(・・・don't take it amiss!)
●今後の催事のご案内●
「高橋 かなえ 手描きのテーブルウエア」
・1月22日(木)~1月28日(水) in 東急百貨店たまプラーザ店4F
・2月19日(木)~2月25日(水) in 東武百貨店池袋店6F
・3月 4 日(水)~3月10日(火) in 伊勢丹立川店6F 他
ペイントの実演をしながら皆様のお越しをお待ちしております♪
「HALCYON DAYS プロモーション」
・12月17日(水)~12月25日(木) 日本橋三越本店5F
クリスマス向け商品と一緒にぺインターとしてお仕事します
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● 高橋 かなえ 手描きのうつわたち ●
オンラインショップ http://kanakana.ocnk.net/
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by atelierleaf
| 2014-11-28 18:00